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特別インタビュー(4/5)

思慮の浅い暴力性の部分は今後掘り下げて行きたいテーマです。
ab:衝撃的なシーンなどもかなりありましたが『GAMBO』がこのような物語になった経緯は?

安藤裕章監督(以下、安藤):これはもう石井さんの原案そのままです。鬼対熊のぶっ飛んだ アイデアが石井さんよりあって、それに女の子がからむというもので。それをそのままふくらませました。私が監督をした経緯としては、プロデューサーからオファーをもらったかたちなのですが、自分にとってはオムニバスの企画からアニメーション業界に入った経緯や本作の題材より、自分にやらせて欲しいとアピールしていたところも多分にあります。
ab:この物語の舞台は東北ということですが、先の3.11のことも意識してのことなのでしょうか?3.11に対する特別な思いなどあれば教えて下さい。
安藤:そうですね…これは意見としてまとめにくいところがあります。直接的に時事的な問題を取り上げるには、企画の枠組みから真摯に考えなくてはと思うので、エンターテインメント作品においてこの問いはストレートには答えづらいですね。しかしながら物語に織り込む暗喩は多分に時事的な問題を意識していますし3.11は物事を考える土台を揺るがされるような大きな出来事だったので、影響を受けていないとは言いがたいです。ただそれだけで東北を舞台にしたというわけではないです。東北というアイディアは、はじめから石井さんのなかで考えられていたようです。
ab:本作は石井克人さん、貞本義行さんと、スタッフも豪華な面々が並びますが、この2人が制作に加わったことが作品にどう影響しましたか?
安藤:まず石井さんはもう話の枠組み自体がまさに石井ワールドで、石井さんなくしては成立しない作品です。そこに貞本さんの絵が入ってくれることによって、可愛いくありつつも生々しい存在感を持ったキャラデザインになったところが良かったです。生々しいところは生理的に日本人ぽさを表現していて、それは話のなかでも重要な鍵になっている部分だと思います。石井さんは原案とシナリオ部分作っていただいて、それより先の部分はある程度任せていただきました。作品中に登場する鬼と熊に関しては石井さんのイメージ画をかなりそのまま使わせてもらっています。
ab:本作を通して最も伝えたいことは?
安藤:一見突拍子もない異形がぶつかり合うバイオレンスな話ではあるんですが、それぞれ鬼と熊には逆らいがたい外からの暴力と、それに抗う内からの暴力という2つの暴力の象徴というかたちで描きました。それらの暴力とどう向き合うべきかというのが本作を通して伝えたかった内容です。
ab:本作のみどころは?
安藤:みどころはもうそのまま2つの異形の生死をかけた激しいぶつかり合いなのかなと思います。あえて見世物っぽくしている部分があるのですが、それは狙ったところです。もう少し長さがあれば女の子の思慮の浅いGAMBOへの依存の部分をしっかりと描きたかったところもあるのですが、そういう思慮の浅い暴力性の部分は今後掘り下げて行きたいテーマです。
ab:本作に限らず、作品を作るにあたり、いつもモットーとしていることは?
安藤:できるだけ変化を恐れないこと、それから変化のためには前に作った作品や立場などをリセットしてしまうことが必要なのかなと。フリーランスなので、それで生きていくにはそれまでに作り上げた立場に留まるだけではだめなんじゃないかなと思っています。あえて自分を苦境に放り込むようなことをしなければいけないのではと思います。
ab:日本のアニメ作品に関わる一人として、今後の海外展開への想いを教えて下さい。
安藤:海外に向けて商売という部分でいかに評価されるかというのも重要なことですが、アニメって元々国籍の枠を超える普遍的な媒体だと思います。それゆえに国内だけで留まっているのはもったいない。私がこうして作品を作っているのも、確かに一番には日本の漫画文化の影響を受けてはぐくまれた部分ではあるんですが、それだけじゃなくて、国内外を問わずに映画や美術、音楽など本当に様々なものに影響を受けて作っています。ですので、それを還元する意味で日本のアニメを国内だけにとどめておきたくないという想いはあります。日本で作られたものであったとしても、日本をテーマにしたものであったとしても、海外の人にも評価されるものをつくりたいという想いはありますね。
ab:最後にサイトを見ている方へ一言お願いします。
安藤:アニメは日本のポップカルチャーと言いつつも、つくっている我々は世界のありとあらゆるものに影響を受けています。レーベルとして日本のアニメとしての特徴ある面白さはあると思うんですが、そこでつくられているものは世界のあらゆるものに影響されているので、日本という枠に縛られずに見てもらってもいいのかなと思います。とはいえ作り手のフィルターを通した上で明らかに日本っぽさはあるとは思うのですが。逆に世界からも違った作り手のフィルターを通された面白いものを見せてもらえたらとも思います。

安藤裕章監督(以下、安藤):これはもう石井さんの原案そのままです。鬼対熊のぶっ飛んだ アイデアが石井さんよりあって、それに女の子がからむというもので。それをそのままふくらませました。私が監督をした経緯としては、プロデューサーからオファーをもらったかたちなのですが、自分にとってはオムニバスの企画からアニメーション業界に入った経緯や本作の題材より、自分にやらせて欲しいとアピールしていたところも多分にあります。
ab:この物語の舞台は東北ということですが、先の3.11のことも意識してのことなのでしょうか?3.11に対する特別な思いなどあれば教えて下さい。
安藤:そうですね…これは意見としてまとめにくいところがあります。直接的に時事的な問題を取り上げるには、企画の枠組みから真摯に考えなくてはと思うので、エンターテインメント作品においてこの問いはストレートには答えづらいですね。しかしながら物語に織り込む暗喩は多分に時事的な問題を意識していますし3.11は物事を考える土台を揺るがされるような大きな出来事だったので、影響を受けていないとは言いがたいです。ただそれだけで東北を舞台にしたというわけではないです。東北というアイディアは、はじめから石井さんのなかで考えられていたようです。
ab:本作は石井克人さん、貞本義行さんと、スタッフも豪華な面々が並びますが、この2人が制作に加わったことが作品にどう影響しましたか?
安藤:まず石井さんはもう話の枠組み自体がまさに石井ワールドで、石井さんなくしては成立しない作品です。そこに貞本さんの絵が入ってくれることによって、可愛いくありつつも生々しい存在感を持ったキャラデザインになったところが良かったです。生々しいところは生理的に日本人ぽさを表現していて、それは話のなかでも重要な鍵になっている部分だと思います。石井さんは原案とシナリオ部分作っていただいて、それより先の部分はある程度任せていただきました。作品中に登場する鬼と熊に関しては石井さんのイメージ画をかなりそのまま使わせてもらっています。

安藤:一見突拍子もない異形がぶつかり合うバイオレンスな話ではあるんですが、それぞれ鬼と熊には逆らいがたい外からの暴力と、それに抗う内からの暴力という2つの暴力の象徴というかたちで描きました。それらの暴力とどう向き合うべきかというのが本作を通して伝えたかった内容です。
ab:本作のみどころは?
安藤:みどころはもうそのまま2つの異形の生死をかけた激しいぶつかり合いなのかなと思います。あえて見世物っぽくしている部分があるのですが、それは狙ったところです。もう少し長さがあれば女の子の思慮の浅いGAMBOへの依存の部分をしっかりと描きたかったところもあるのですが、そういう思慮の浅い暴力性の部分は今後掘り下げて行きたいテーマです。
ab:本作に限らず、作品を作るにあたり、いつもモットーとしていることは?
安藤:できるだけ変化を恐れないこと、それから変化のためには前に作った作品や立場などをリセットしてしまうことが必要なのかなと。フリーランスなので、それで生きていくにはそれまでに作り上げた立場に留まるだけではだめなんじゃないかなと思っています。あえて自分を苦境に放り込むようなことをしなければいけないのではと思います。
ab:日本のアニメ作品に関わる一人として、今後の海外展開への想いを教えて下さい。
安藤:海外に向けて商売という部分でいかに評価されるかというのも重要なことですが、アニメって元々国籍の枠を超える普遍的な媒体だと思います。それゆえに国内だけで留まっているのはもったいない。私がこうして作品を作っているのも、確かに一番には日本の漫画文化の影響を受けてはぐくまれた部分ではあるんですが、それだけじゃなくて、国内外を問わずに映画や美術、音楽など本当に様々なものに影響を受けて作っています。ですので、それを還元する意味で日本のアニメを国内だけにとどめておきたくないという想いはあります。日本で作られたものであったとしても、日本をテーマにしたものであったとしても、海外の人にも評価されるものをつくりたいという想いはありますね。
ab:最後にサイトを見ている方へ一言お願いします。
安藤:アニメは日本のポップカルチャーと言いつつも、つくっている我々は世界のありとあらゆるものに影響を受けています。レーベルとして日本のアニメとしての特徴ある面白さはあると思うんですが、そこでつくられているものは世界のあらゆるものに影響されているので、日本という枠に縛られずに見てもらってもいいのかなと思います。とはいえ作り手のフィルターを通した上で明らかに日本っぽさはあるとは思うのですが。逆に世界からも違った作り手のフィルターを通された面白いものを見せてもらえたらとも思います。
安藤裕章プロフィール
1966年愛知県出身。93年より『MEMORIES』のCG担当としてアニメーション業界に入る。
主な作品として『MEMORIES』『STEAMBOY』などのCGI監督を務める一方、『鉄コン筋クリート』『FREEDOM‐PROJECT』などに演出として参加。監督作として『ノラゲキ!』などがある。
主な作品として『MEMORIES』『STEAMBOY』などのCGI監督を務める一方、『鉄コン筋クリート』『FREEDOM‐PROJECT』などに演出として参加。監督作として『ノラゲキ!』などがある。