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特別インタビュー(5/5)
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あたかもそこにあるように思わせるという点に影響を受けていると思います。
ab:『武器よさらば』は大友克洋監督の漫画作品が原作となっていますが、映像化する際に気をつけた点など教えて下さい。また、監督自身の、原作への思い入れについても教えて下さい。

カトキハジメ監督(以下、カトキ):『武器よさらば』の原作を知っている人に説明は要らないんですが、知らない人にはまず、これが描かれた時代背景を説明しなくてはいけません。この原作は1981年に書かれました。30年も昔で、機動戦士ガンダムが始まった直後です。荒唐無稽なスーパーロボットのアニメから、壊れたり修理したりする機械なんだというリアルロボットというジャンルが生まれたばかりの頃です。そしてロボットとは違って、人が着用する装置であるパワードスーツ(プロテクションスーツ)というメカも知られる様になった。人が着るものとしてのメカやロボットという発想がまだ新鮮だった時代に、いきなり高い完成度で描かれちゃったのが『武器よさらば』なんです。
ab:なるほど。そういう時代背景があったんですね。
カトキ:そう。だから当時、ガンダムなんかを見てすごいなーって言っていた僕たちは『武器よさらば』に本当に驚いたわけです。しかも固い装甲を施した旧来のメカとは異なり、大友さんの描くプロテクションスーツは防弾チョッキの様に柔軟で、乗るというより正に着る感じです。このコミックのメカの表現はその後いろいろな作品に影響を与え、真似されたのですが、本家である大友さんの『武器よさらば』は、今手に入る単行本に未収録の状態が続いており、好事家にしか知られていないんですよね。日本のジャパニメーションを語る上で重要な作品であるはずなのに、です。映像化する際に気をつけた点としては、この作品の原作が、当時リアルタイムに読んで、今でも忘れられない人たちが居る一方で、若い人は原作の存在さえ知らないとう両極端な作品なんです。そのあたりの温度差には用心が必要でした。
ab:カトキさんはやはり、大友さんの作品に影響されているところが大きいと言えるんでしょうか?
カトキ:大きいでしょうね。物事をテンプレで描くことを避け、あたかもそこにあるように描写するという思想に影響を受けていると思います。漫画表現というと、汗をかいているときは“汗”だし、困った時には“眉を寄せて”みたいな表現があるなかで、“そうそう、人間ってこんな時こんな変な表情する”みたいな表現を大友さんは描くんです。日本人の顔は鼻が低くて口がとんがっている感じとか。“そうそうこういう感じ”っていうキャラクターが荒唐無稽なストーリーを演じるのを読むと、本当にあるかもしれないなぁと、騙されてもいいような気持ちになってくる。大友さんの作品を初期から見ていたファンは、みんなそこに魅力を感じていたのではないかと思います。
ab:ガンダムシリーズなどのメカデザインで有名なカトキ監督ですが、自身の経験が今回の作品にどのように活きていると思いますか?
カトキ:今回もメカを扱う作品ですので、メカを面白く見せていくっていう意味では、これまでの仕事の延長上のところが多いかと思います。
ab:特に制作の面でこだわった点を教えて下さい。
カトキ:今回の『SHORT PEACE』は4本のオムニバスなんですが、「武器よさらば」はエンタメとしての役割を果たすという点ですね(笑)。 他の作品は芸術性が高い作品ですが、本作はメカアクションだし、そんなに気取ったところはないわけで。そういう意味ではガンダムと同じ地平上にいると言えるんじゃないでしょうか。今回の原作を隠れた傑作だと思ってるような人と、全く聞いたこともなかったという人がいるので、とりわけ振れ幅が広い作品なんですよね。そういった意味で色んな人が観るというのが、悩みどころというか苦労した点でした。
ab:本作のみどころを教えて下さい。
カトキ:みどころは、ズバリ、メカアクションです。
ab:本作に限らず、作品を作るにあたり、いつもモットーとしていることを教えて下さい。
カトキ:見てくれた人にちゃんと分かってもらえるように作ることです。いつも意識していても、なかなかうまく行かなかったりするから、大事なことだと思います。
ab:座右の銘などあれば教えて下さい。
カトキ:一期一会でしょうか。
ab:日本のアニメ作品に関わる一人として、今後の海外展開への想いを教えて下さい。
カトキ:海外ということはあまり意識したことがないですね。日本のアニメーションって非常にローカルに作ったものが評価されてる様に思えます。ローカライズを極めたものが別の文化圏にいる人にとって、面白いものに受け取られるのではと考えています。
ab:最後にサイトを見ている方へ一言お願いします。
カトキ:じっくり作ったものが結果として海外から観て評価される場合もあるでしょうし。即興的でも受ける作品もあると思います、そうやっていろいろ作られたものの中から、稀に海外でジャストミートする作品が出るのが面白いのだと思っています。今回の作品もそんな感じで面白がってもらえればと思います。

カトキハジメ監督(以下、カトキ):『武器よさらば』の原作を知っている人に説明は要らないんですが、知らない人にはまず、これが描かれた時代背景を説明しなくてはいけません。この原作は1981年に書かれました。30年も昔で、機動戦士ガンダムが始まった直後です。荒唐無稽なスーパーロボットのアニメから、壊れたり修理したりする機械なんだというリアルロボットというジャンルが生まれたばかりの頃です。そしてロボットとは違って、人が着用する装置であるパワードスーツ(プロテクションスーツ)というメカも知られる様になった。人が着るものとしてのメカやロボットという発想がまだ新鮮だった時代に、いきなり高い完成度で描かれちゃったのが『武器よさらば』なんです。
ab:なるほど。そういう時代背景があったんですね。
カトキ:そう。だから当時、ガンダムなんかを見てすごいなーって言っていた僕たちは『武器よさらば』に本当に驚いたわけです。しかも固い装甲を施した旧来のメカとは異なり、大友さんの描くプロテクションスーツは防弾チョッキの様に柔軟で、乗るというより正に着る感じです。このコミックのメカの表現はその後いろいろな作品に影響を与え、真似されたのですが、本家である大友さんの『武器よさらば』は、今手に入る単行本に未収録の状態が続いており、好事家にしか知られていないんですよね。日本のジャパニメーションを語る上で重要な作品であるはずなのに、です。映像化する際に気をつけた点としては、この作品の原作が、当時リアルタイムに読んで、今でも忘れられない人たちが居る一方で、若い人は原作の存在さえ知らないとう両極端な作品なんです。そのあたりの温度差には用心が必要でした。
ab:カトキさんはやはり、大友さんの作品に影響されているところが大きいと言えるんでしょうか?
カトキ:大きいでしょうね。物事をテンプレで描くことを避け、あたかもそこにあるように描写するという思想に影響を受けていると思います。漫画表現というと、汗をかいているときは“汗”だし、困った時には“眉を寄せて”みたいな表現があるなかで、“そうそう、人間ってこんな時こんな変な表情する”みたいな表現を大友さんは描くんです。日本人の顔は鼻が低くて口がとんがっている感じとか。“そうそうこういう感じ”っていうキャラクターが荒唐無稽なストーリーを演じるのを読むと、本当にあるかもしれないなぁと、騙されてもいいような気持ちになってくる。大友さんの作品を初期から見ていたファンは、みんなそこに魅力を感じていたのではないかと思います。

カトキ:今回もメカを扱う作品ですので、メカを面白く見せていくっていう意味では、これまでの仕事の延長上のところが多いかと思います。
ab:特に制作の面でこだわった点を教えて下さい。
カトキ:今回の『SHORT PEACE』は4本のオムニバスなんですが、「武器よさらば」はエンタメとしての役割を果たすという点ですね(笑)。 他の作品は芸術性が高い作品ですが、本作はメカアクションだし、そんなに気取ったところはないわけで。そういう意味ではガンダムと同じ地平上にいると言えるんじゃないでしょうか。今回の原作を隠れた傑作だと思ってるような人と、全く聞いたこともなかったという人がいるので、とりわけ振れ幅が広い作品なんですよね。そういった意味で色んな人が観るというのが、悩みどころというか苦労した点でした。
ab:本作のみどころを教えて下さい。
カトキ:みどころは、ズバリ、メカアクションです。
ab:本作に限らず、作品を作るにあたり、いつもモットーとしていることを教えて下さい。
カトキ:見てくれた人にちゃんと分かってもらえるように作ることです。いつも意識していても、なかなかうまく行かなかったりするから、大事なことだと思います。
ab:座右の銘などあれば教えて下さい。
カトキ:一期一会でしょうか。
ab:日本のアニメ作品に関わる一人として、今後の海外展開への想いを教えて下さい。
カトキ:海外ということはあまり意識したことがないですね。日本のアニメーションって非常にローカルに作ったものが評価されてる様に思えます。ローカライズを極めたものが別の文化圏にいる人にとって、面白いものに受け取られるのではと考えています。
ab:最後にサイトを見ている方へ一言お願いします。
カトキ:じっくり作ったものが結果として海外から観て評価される場合もあるでしょうし。即興的でも受ける作品もあると思います、そうやっていろいろ作られたものの中から、稀に海外でジャストミートする作品が出るのが面白いのだと思っています。今回の作品もそんな感じで面白がってもらえればと思います。
カトキハジメプロフィール
1963年生まれ。デザイナー、イラストレーター。
ガンダムシリーズのメカデザインを務め、プラモデルやアクションフィギュアのデザイン監修、『バーチャロン』『スーパーロボット大戦』などのビデオゲームのデザイン等を手掛ける。作品集『GUNDAM FIX』『機動戦士ガンダムUCメカニカルアーカイブ』など。
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