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特別インタビュー(3/5)

今回は“モノ”をモチーフにしているので、立体感を出すことを意識しました。
asianbeat(以下ab): OVA作品の『FREEDOM』など、これまで監督をしてきた作品での経験が、今回の『九十九』にどのように影響していると思いますか?

森田修平監督(以下、森田):自分は元々『FREEDOM』のようなSFというよりは、日本的というかアジア的な感覚のものが好きでした。例えばお寺に入った時にすごく冷たい空気が流れるような感覚とか、路地の奥の、なにかにおいそうな感覚とかですね。SFも嫌いというわけではなくて、大学時代に3Dを目指すなら、海外のSF映画のVFXみたいな流れもあり、興味を持った時期もあります。もちろん大友さんの『AKIRA』は大好きで。そのうち実写でやっていくよりも、ジブリや大友さんの作品など、日本が海外に引けをとっていないアニメに惹かれました。大友さんの影響もあり、また、世界を一から構築していくような映画が好きで、アニメの道に進みました。
ab:今回の『九十九』は監督が元々気になっていたテーマだったんですね。
森田:はい。今回はショートアニメということで、何でも好きなものをやっていいですよとプロデューサーから言われていたので、前々から気になっていた妖怪や鬼や民話などに挑戦しました。日本の昔話って淡々としているじゃないですか。例えば『稲生物怪録』など妖怪を淡々とさばいていく日本昔話があるんですが、その魅力って何だろうというのが自分の中であって。要は映画みたいにアクションがあり、伏線がありというものではなく、ひたすら淡々としているような。せっかくだったらその魅力に挑戦してみたいなというのがこの作品を作った動機です。
ab:『九十九』は日本をモチーフとした作品ですが、自身の日本イメージはこの作品にどのようなかたちで反映されていますか?
森田:自分が任された時にはまだ日本というテーマはなかったんですね。ですが、以前から気になっていた、日本昔話をモチーフにした作品に取り組もうとは考えていて。日本昔話って色々と見ていくと、どこかで繋がっているところがあるんですね。そういう共通点を見出すのが面白くて、その部分をエンタメにできないかなと思っていました。自身の日本のイメージというよりは、自分が好きな日本の昔話が本作に反映されているのではないでしょうか。
ab:本作は、日本の歴史的なモチーフを最新のCGの技術で表現する面白さがあると思いますが、制作面で特に気をつけた点はありますか?
森田:今回は“モノ”をモチーフにしているので、立体感を出すことを特に意識しました。“モノ”がコトコトとかカタカタ鳴ったりしている感じや、見た目の立体感ですね。着物の模様や柄には実際の千代紙や和紙なども使用しています。
ab:制作にあたり、最も苦労した点は?
森田:苦労した点は、今回少人数で、制作自体が大変だったということです。逆に少人数だったことが利点になったところもありましたよ。例えば着物の模様に千代紙を使おうというアイディアがすぐに試せたりなど、アイディアが出た際に臨機応変に対応できました。
ab:ズバリ、この作品のみどころは?
森田:みどころは、淡々とした心地よさ、小気味よさです。あとは滑稽さも魅力の一つと思っています。
ab:本作に限らず、作品を作るにあたり、いつもモットーとしていることを教えて下さい。
森田:無駄に悩むことはしない。作品作りも、実際に作品を出してみてから悩むということです。今回の作品も結局1ヶ月くらい悩んだんですけど、出したらスパっとくるときがあって。考えていることと出てきたものが違っても、何となくこれはいけそうっていう感覚はあります。でもそれをするためには数を出さないとだめで。書かずに悩むということはせずに、やってみるということが多いですね。内気にいくより元気に!一人で一喜一憂しながらやっています。
ab:座右の銘などあれば教えて下さい。
森田:一所懸命です!
ab:本作品は国内外の映画祭で上映されたと聞いていますが、本作を通じて海外での評価を感じた経験などがあれば教えて下さい。
森田:海外に行くといつもそうなんですが、作品を観ながらお客さんが一喜一憂してくれるんですよね。特に今回のアヌシーでの上映はみんな楽しみに来てくれているので、上映中にツッコんでくれたりもしてるんですよね。この作品にある日本独特の考え方、“モノには魂がある”とか“もったいないおばけ”みたいなものって、あまり向こうにはないので、どこまで伝わるかなと思っていたんですが、ホントにシンプルに笑ってくれるところは笑ってくれて。そういうのは好きですね。ダイレクトにその感触が伝わってきました。“カワイイ”という歓声もありましたが、“カワイイ要素ないぞ?”と思いながら見ていました(笑) こういう反応があったりするのは面白いです。
ab:最後にサイトを見ている方へ一言お願いします。
森田:今回の作品は日本独特の“つくもがみ”というのをモチーフにした作品です。淡々とした地味な話ですが、
昔のお話や土地など、繋がってくる面白さもあり、そういうジワリとくる面白さをめざしましたので、是非何度も見て楽しんでいただければと思います。
VFX(ブイエフエックス): Visual Effects(ビジュアル・エフェクツ)の略で、特撮を用いた映画やテレビドラマにおいて、現実には見ることのできない画面効果を実現するための技術のことを指す。視覚効果(しかくこうか)ともいう。
※『稲生物怪録』: (いのうもののけろく、いのうぶっかいろく)は、江戸時代中期の寛延2年(西暦1749年)に、備後三次藩(現在の広島県三次市)藩士の稲生武太夫(幼名・平太郎)が体験したという、妖怪にまつわる怪異をとりまとめた物語。

森田修平監督(以下、森田):自分は元々『FREEDOM』のようなSFというよりは、日本的というかアジア的な感覚のものが好きでした。例えばお寺に入った時にすごく冷たい空気が流れるような感覚とか、路地の奥の、なにかにおいそうな感覚とかですね。SFも嫌いというわけではなくて、大学時代に3Dを目指すなら、海外のSF映画のVFXみたいな流れもあり、興味を持った時期もあります。もちろん大友さんの『AKIRA』は大好きで。そのうち実写でやっていくよりも、ジブリや大友さんの作品など、日本が海外に引けをとっていないアニメに惹かれました。大友さんの影響もあり、また、世界を一から構築していくような映画が好きで、アニメの道に進みました。
ab:今回の『九十九』は監督が元々気になっていたテーマだったんですね。
森田:はい。今回はショートアニメということで、何でも好きなものをやっていいですよとプロデューサーから言われていたので、前々から気になっていた妖怪や鬼や民話などに挑戦しました。日本の昔話って淡々としているじゃないですか。例えば『稲生物怪録』など妖怪を淡々とさばいていく日本昔話があるんですが、その魅力って何だろうというのが自分の中であって。要は映画みたいにアクションがあり、伏線がありというものではなく、ひたすら淡々としているような。せっかくだったらその魅力に挑戦してみたいなというのがこの作品を作った動機です。
ab:『九十九』は日本をモチーフとした作品ですが、自身の日本イメージはこの作品にどのようなかたちで反映されていますか?
森田:自分が任された時にはまだ日本というテーマはなかったんですね。ですが、以前から気になっていた、日本昔話をモチーフにした作品に取り組もうとは考えていて。日本昔話って色々と見ていくと、どこかで繋がっているところがあるんですね。そういう共通点を見出すのが面白くて、その部分をエンタメにできないかなと思っていました。自身の日本のイメージというよりは、自分が好きな日本の昔話が本作に反映されているのではないでしょうか。

森田:今回は“モノ”をモチーフにしているので、立体感を出すことを特に意識しました。“モノ”がコトコトとかカタカタ鳴ったりしている感じや、見た目の立体感ですね。着物の模様や柄には実際の千代紙や和紙なども使用しています。
ab:制作にあたり、最も苦労した点は?
森田:苦労した点は、今回少人数で、制作自体が大変だったということです。逆に少人数だったことが利点になったところもありましたよ。例えば着物の模様に千代紙を使おうというアイディアがすぐに試せたりなど、アイディアが出た際に臨機応変に対応できました。
ab:ズバリ、この作品のみどころは?
森田:みどころは、淡々とした心地よさ、小気味よさです。あとは滑稽さも魅力の一つと思っています。
ab:本作に限らず、作品を作るにあたり、いつもモットーとしていることを教えて下さい。
森田:無駄に悩むことはしない。作品作りも、実際に作品を出してみてから悩むということです。今回の作品も結局1ヶ月くらい悩んだんですけど、出したらスパっとくるときがあって。考えていることと出てきたものが違っても、何となくこれはいけそうっていう感覚はあります。でもそれをするためには数を出さないとだめで。書かずに悩むということはせずに、やってみるということが多いですね。内気にいくより元気に!一人で一喜一憂しながらやっています。
ab:座右の銘などあれば教えて下さい。
森田:一所懸命です!
ab:本作品は国内外の映画祭で上映されたと聞いていますが、本作を通じて海外での評価を感じた経験などがあれば教えて下さい。
森田:海外に行くといつもそうなんですが、作品を観ながらお客さんが一喜一憂してくれるんですよね。特に今回のアヌシーでの上映はみんな楽しみに来てくれているので、上映中にツッコんでくれたりもしてるんですよね。この作品にある日本独特の考え方、“モノには魂がある”とか“もったいないおばけ”みたいなものって、あまり向こうにはないので、どこまで伝わるかなと思っていたんですが、ホントにシンプルに笑ってくれるところは笑ってくれて。そういうのは好きですね。ダイレクトにその感触が伝わってきました。“カワイイ”という歓声もありましたが、“カワイイ要素ないぞ?”と思いながら見ていました(笑) こういう反応があったりするのは面白いです。
ab:最後にサイトを見ている方へ一言お願いします。
森田:今回の作品は日本独特の“つくもがみ”というのをモチーフにした作品です。淡々とした地味な話ですが、
昔のお話や土地など、繋がってくる面白さもあり、そういうジワリとくる面白さをめざしましたので、是非何度も見て楽しんでいただければと思います。
VFX(ブイエフエックス): Visual Effects(ビジュアル・エフェクツ)の略で、特撮を用いた映画やテレビドラマにおいて、現実には見ることのできない画面効果を実現するための技術のことを指す。視覚効果(しかくこうか)ともいう。
※『稲生物怪録』: (いのうもののけろく、いのうぶっかいろく)は、江戸時代中期の寛延2年(西暦1749年)に、備後三次藩(現在の広島県三次市)藩士の稲生武太夫(幼名・平太郎)が体験したという、妖怪にまつわる怪異をとりまとめた物語。
森田修平プロフィール
1978年生まれ、奈良県出身。
アニメーション監督作の代表作として『KAKURENBO』『FREEDOM』。
『KAKURENBO』(東京アニメアワード公募作品一般部門で最優秀作品賞、カナダ・ファンタジア映画祭ショートフィルム部門金賞)『FREEDOM』(日本映像技術賞 アニメ・ビデオパッケージ部門/技術奨励賞)。
アニメーション監督作の代表作として『KAKURENBO』『FREEDOM』。
『KAKURENBO』(東京アニメアワード公募作品一般部門で最優秀作品賞、カナダ・ファンタジア映画祭ショートフィルム部門金賞)『FREEDOM』(日本映像技術賞 アニメ・ビデオパッケージ部門/技術奨励賞)。