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まんがイベント「韓国まんが文化と交流」 ~「宮」(らぶきょん)のパク・ソヒ先生来福!開催レポート!!~ (6/8)

「韓国まんが文化事情」

(O)
では、ここで、このような若者文化交流がなされている、お隣の国、韓国では、どういうことがおこなわれているのか、プロの世界、アマチュアの世界があるのですが、今日は、プロの世界からみた韓国まんが事情をユさんに聞いて見ましょう。

(Y)
では、まず、韓国のまんが市場規模ですが、日本と比べるものではないほど、狭いものです。韓国の人口全体は、4,800万人程度で、日本の1/3ぐらいです。売り上げとしては、年間7,300億ウォンぐらいで、日本の円にするとだいたい730億円ぐらいの売り上げです。

(O)
日本がだいたい4,300億円ぐらいですね。

(Y)
韓国も年々、売り上げが減少しています。出版社は厳しい状況に置かれています。紙を出版するというビジネスが減っていて、そのかわりに韓国では、デジタルまんがのほうが、インターネット、メール、モバイルなどでのサービスが、年々増えています。将来は、半分ぐらい、オンラインが占めるのではないかという予測もあるぐらいです。それから、韓国では、まんがのレンタル業というのがあるのですが、今では、このレンタル業も減っています。そのような中、5、6年前から、海外において、韓国まんがの輸出というのがビジネス的に成り立つようになり、2005年度に327万ドル、2006年度に392万ドル、2007年度には450万ドルほどまで増えています。ただ、今年に関しては、頭打ちにきているかなという感触です。海外が伸びた大きな理由として、ヨーロッパの市場、特にフランス市場に関して、日本からも圧倒的に入っていったのですが、大きかったとおもいます。地域別にも、ヨーロッパ36%、北米21%と高く、日本も19%ありますが、これは、パク・ソヒ先生の「らぶきょん」の影響が大きいとおもいます。

韓国の各出版社は、ドイツ・フランクフルトのブックフェアやアメリカ・サンディエゴのイベントなど、世界各地でおこなわれているまんが、出版の展示会に人を送り込むなど、力を入れています。輸入は、圧倒的に日本のまんがです。だいたい86%ほどあります。それと、中国関連のまんがが4%ほど、これは、三国志などの歴史に関したものです。北米のものが毎年、少しずつ伸びていまして、5%ほどありますが、これは、映画の影響だとおもいます。スパイダーマンとか映画が公開されるたびに、まんがも売れていますので、そういうことだとおもいます。

つづいて、韓国のまんが出版社ですが、大手3社(ソウル文化社、大元CI、鶴山文化社)があります。これは、規模から見れば、日本の1/10程度ですが、まさに日本の集英社、講談社、小学館にあたるような出版社です。この3社で年間323種の韓国まんがを発刊し、シェアは25%です。また、翻訳まんがは、3社で2,153種のまんがを発刊し、シェアは75%ぐらいあります。そのため、総計で、韓国のまんが市場の60%を3社で占めています。

ソウル文化社の出版のことですが、少年まんが、少女まんがとも2006年度から2007年度は売り上げが、100億ウォンほど上がったのですが、2008年度、今年は、急激に売り上げ下落が続いており、少年まんがのほうは、昨年の売り上げをなんとか維持しつつがんばっているのですが、少女まんがの売り上げが落ちています。これまで、少女まんがのほうが、少年まんがよりも売り上げが大きかったのですが、変わらなくなってきているという状況です。韓国では、カラーまんがというのがありまして、これは、オンラインゲームが盛んでして、オンラインゲームに出てきているキャラクターを借りて、出版社のほうで、まんが家の先生にお願いして、カラーでまんがを描きます。それが、小学生など、子供向けに受けています。たとえば、弊社のほうで「ブレイブ・ストーリー」というオンラインゲームのカラーまんがを出版していますが、これまで30巻発刊し、平均30万部出版しています。価格も普通のまんがの3倍ほどの価格のため、出版社からすると、大きな売り上げになっています。また、もうひとつのカラーまんがですが、韓国ではアニメ・コミックという市場が5、6年前から形成されています。今では、地上波のアニメのほとんどが、カラーまんがになっています。さらに、日本の講談社から出ているまんがで「しゅごキャラ!」というのがあるのですが、これも弊社で白黒まんがも出版していますが、カラーまんがを出版しており、普通、韓国では、1万部売れればヒットといわれる中、3万部以上は売れる人気があります。

続いて、韓国の読者の傾向ですが、これは、日本の読者と同じ傾向にあるとおもうのですが、コミックが一番です。つづいて、少女、アクションものです。韓国の特徴といえば、教育まんがであれば、親が購入することがあり、上位に入ってきています。それと、どういう形でまんがと接触しているかということですが、韓国では、まんがを読む人の57%(複数回答有)が新聞に連載されたまんがを読んでいます。これが一番です。つづいて、単行本が44%、それから、オンライン、ウェブまんがが34%です。モバイルまんがの場合は、これからでじわじわ伸びてくるとおもいます。

日本でまんがが売れない売れないと言われますが、韓国でも同様のことがおきています。弊社で出版している雑誌に「IQジャンプ」という雑誌がありまして、これが1988年に創刊されたまんが専用の雑誌です。1988年というのが、ソウルオリンピックの年で、その前の1986年に韓国では、世界著作権機構に加盟して、日本とも正式に契約できるようになりました。これは、創刊当時から3年前までは、週刊誌でした。それが、厳しくなり、3年前から隔週刊になりました。まんが雑誌の中身ですが、100%、日本のまんがではありませんで、1988年当時、韓国の漫画家からは、韓国のまんが文化の発展に、日本のまんがを掲載することに反対の意見もありました。それで、最初は、おおよそ20%ということで、スタートしました。その後、日本文化に対する規制が緩やかになったり、反対意見も少なくなったりするなどして、増えていくことになりますが、だいたい半分は超えない程度です。
雑誌の作りですが、開き方が日本と韓国では異なっていますので、左側が韓国(左から右に読む)、右側が日本(右から左に読む)となっています。あと、面白いのは、「IQジャンプ」を例にとると、日本の人気のまんがを出版社に捉われず集めていて、集英社の「BLEACH」や講談社の「金田一少年の事件簿」、小学館の「名探偵コナン」、「PLUTO」をはじめ、秋田書店や角川書店など、いろいろな人気まんがが掲載されています。

(O)
それで、韓国のまんがで何が売れているんだろうということを会場のみなさんも具体的なタイトルなどを知りたいとおもうのですが、そのあたり、いかがでしょう?

(Y)
今年9月の日本まんがのランキングがあるのですが、御覧のとおり、成人向けのBL(ボーイズラブ)が少しずつ、今、受けはじめています。それとライトノベルが、日本と比べて韓国は遅れたのですが、3年ほど前からじわじわと市場を拡大しています。それと、韓国のまんがを入れたところでは、8月のランキングになるのですが、日本の「NANA-ナナ-」が一番です。つづいて、「ONE PIECE」、「鋼の錬金術師」、「のだめカンタービレ」、「狼と香辛料」、「NARUTO」と続き、6位が「食客」といって、韓国のまんがでして、東亜日報という新聞に連載しながら、映画化もされた話題の作品です。同じく9月になると、8月25日に「宮(らぶきょん)」が発売されたのですが、全体で3位と、上位に入ってきています。それから、2007年度の全体ランキングですが、とある書店のランキングですが、「PLUTO」が一番、つづいて、「らき☆すた」が続いています。そして、ランキングに入っているように、「神の雫」が売れています。この「神の雫」が面白いのは、近頃、ヨン様(ペ・ヨンジュン)所属の会社が、「神の雫」の版権を持つ講談社と契約し、ドラマ次回作は「神の雫」といわれています。

(O)
ユさんのお話を聞いておわかりのように、ドラマ・映画では韓流の影響で、日本を席捲したといえるのに対し、まんが・アニメでは、日流が韓国に韓国にかなり入っていて、席捲しているという現状から、韓国では、作家を育てて、世界に出て行こうとしている、そんな状況がうかがえるとおもいます。日本は、今、国内で非常に苦戦しております。それを海外で補うために、アジア戦略、ヨーロッパ戦略ということになっています。その中で、ユ局長の発表から、韓国の作家をどんどん世界に広げていこうという活動をされています。どうもありがとうございました。今後は、韓国の原作を日本の漫画家が描いて、中国に売ったり、ヨーロッパに売ったりする、あるいは、日本の原作を韓国の漫画家が描いて、世界に売るといったことも出てくるかもしれませんね。

(Y)
弊社でも青年誌では日本の漫画家を起用して描いていたり、デジタルまんがの世界では、日本、韓国に関係なく、大手出版3社が共同で会社を設立するなど、世界に向けてまんがを発信しようと展開したりしています。

(O)
ありがとうございました。第2部では、韓国発の大ヒットまんが、日本でも180万部以上販売している「宮(らぶきょん)」、これは、日本では初めてだろうとおもいます。そのまんがを描かれたパク・ソヒ先生のトークショーです。最後に一言ずつ、今後の活動などのコメントをいただきまして、第1部を終わらしていただきたいとおもいます。道さんからお願いします。

(T)
私が似顔絵を描く時に、お客さんに一つだけ質問をするんです。それは、あなたは何色が好きですかと質問します。韓国でも同じ質問をしたのですが、一つ、日本とは違う法則を見つけました。韓国の少年少女では、女の子はピンク、男の子は青とほぼ9割、その答えがかえってきました。日本では、いろいろな色を言うのですが、国・地域によって色に対するイメージというのが差があるのだなあとおもいました。今年は韓国に行きましたが、来年はフランスなど行きたいとおもっていますので、そういったことを踏まえて、今後、作家活動を続けていこうとおもいます。

(S)
大学を卒業して、こうして、絵活動をやっているのですけど、普通は雑誌などに投稿して、プロデビューして雑誌に描いていくというのが全てだとおもっていた時もあったのですが、雑誌にデビューすると、日本では特にそうなのですが、雑誌にあわせていく、つまり、自分は天使とか妖精の絵とかを描いていたりしても、雑誌社から描いてといわれたら、そういうことを考えたら、お金にはつながりにくいのですが、自分ひとりでも好きな絵を描いて、それで、活動を続けていけたらとおもいます。
今年は、初めて自分自身、海外(韓国・釜山)に行きましたが、商品だけは、2年ほど前からフランスのほうで委託販売させていただいておりまして、できれば、来年は、フランスに行って、お客さんと交流を深めたいとおもっています。

(Y)
今年8月に釜山で、AYCCが出展した「日韓まんがフェスティバル」に行ってびっくりしました。日韓両国の若者がこんなに交流しているなんて、ソウルにいたので、知らなくて、本当にびっくりしました。両国の間には、海峡があるのですが、それは物理的な壁ではなくて、文化とか、交流ができる海峡だとものすごく感じました。これからも両国の交流にがんばっていきたいとおもいます。

(O)
ありがとうございました。最後にPRなのですが、来年の2月6日(金)に第2回北九州まんがフォーラムがこの同じ会場芸術劇場小劇場で開催予定です。詳細は未定ですが、このような形で開催される予定です。それから、北九州市に漫画ミュージアムの計画が進んでいます。本日この会場の入口にも宣伝パネルが置かれていますが、きっとアジアでも話題になるような漫画ミュージアムになるとおもいます。今後、北九州市のまんがの動きにも、ご期待ください。そして、今回共催のAYCC(アジアユースカルチャーセンター)です。福岡市アクロス福岡の3Fこくさいひろばにあります。AYCCでは、AYCC show windowなど、若者文化交流の仕掛けを今後もおこなっていくということです。ぜひ、ホームページ「アジアンビート」等で情報を得て、福岡にお越しの際は、のぞかれてみてください。

ユさん、道さん、しいたけさん本日は貴重なお話ありがとうございました。
これにて、第1部、終わらせていただきます。みなさん、どうもありがとうございました。

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