マタギキ volume 07 松嶋 啓介氏(7/13)
6.松嶋流 仕事術

とにかく一つ一つ整理します。答えが単純に分かる事ではなく、自分自身で答えを見つけ出せる事を探して記録していました。説明がきちんと出来ない自分が嫌いでしたので、何でも調べていました。料理一つにしてもそうです。地方で出会った料理を詳しく知るために、山に登ったり、川を散策したりなど、その土地の探索をして、美味しい理由を調べました。星付きレストランで働いていたときは、「このシェフは何故、この料理を思いついたのだろう」と疑問に思えば、しつこく、とことん聞いていました。今でもそうですが、毎日起こる出来事に対して疑問に思っていますし、それに対する自分なりの意見(答え)を持っています。星を獲った事を含めてフランスで成功できた事は、この積み重ねをずっとやってきた事が大きかったと思います。
最初の1年間は「こいつ馬鹿だな」と相手に思わせれば勝ちだと思っていましたね。どうやって自分のインパクトを相手に残すかと考えた時に、当時は料理もそんなに修行していませんでしたから、「啓介は面白い日本人だ!」と言われる様にならないと考えました。インパクトさえ付けておけば、一生この人は「面白い日本人と働いていた」という事を忘れないだろうと思って、あえてそうする事が人脈造りと思っていました。
あと、修行をしている他の日本人との違いは「疑問に思ったことの解決方法をシェフから直接聞いていた事」です。ある程度技術のある人間は見て分かるんです。僕は技術がありませんでしたから、説明を受けてから取り組んでいました。技術のある人間は「こんなもんかな」という付け焼き刃の状態で習いますから、言葉=知識として頭の中に残りません。理解していないんです。僕は言葉は充分に解りましたから、シェフが説明する事をすぐ理解できたんです。感覚ではなく、言葉で理解して、きちんと整理して技術を積み重ねていったことが強みです。