マタギキ 小森 陽一氏(10/12)
9.スペシャルな人達と結果を残す絶対条件
つい最近、天然うなぎの卵が発見されたことをご存知ですか? うなぎは今までどこで産卵するか誰も分からなかったのです。かの有名な古代ギリシャの哲学者のアリストテレスでさえ「うなぎは地面から生えてくる」と言ったぐらいです。それくらい謎に包まれた生き物でした。長い時間をかけていろんな場所を探し続けて、ついに、海のど真ん中で発見したのが、東京大学の塚本教授という方です。予測を立てて網を投下して、上がってきた海水をひたすら顕微鏡で調べる。とてつもなく地味で大変な作業を39年間続けられたのです。そういった根気のある方の話は、スペシャルな内容でとにかく面白いです。ネットなどで調べるより、まさに「ヂカギキ」しないと分かりませんね。僕はどうしても塚本先生に会いたくて、取材におしかけて、たくさんウナギの話を聴かせて頂きました。
ありがたいことに、色々な人に会わせて頂いていますが、共通することはスペシャルな人はスペシャルな内容を語ってくれますので、その話を聴けば、必ず物語になります。
ありがたいことに、色々な人に会わせて頂いていますが、共通することはスペシャルな人はスペシャルな内容を語ってくれますので、その話を聴けば、必ず物語になります。

一生懸命やることです。僕は、本当に単純なことしかしていません。会いに行ったら必ずお礼の手紙を出します。全てはそれの繰り返しです。何かあれば、会いに行って直接話を伺う、まさに「ヂカギキ」をすることです。マタギキだと物語はできません。0=ゼロから1=イチを創りだすことはできません。直接話を聴くことで、目も耳も全てを使って話を聴くことで「五感が働く」からできるのだと思います。僕自身、話を聴きながら色々なことを吸収して成長してきています。その時すぐに何かができるわけではありません。例えば、僕が中越地震の話を伺って252(生存者りの信号)の話を聴いてから、物語を書いたのが1年半後ですから。お風呂に入っていて突然浮かんできて物語になりましたから。そんな風にアイデアが浮かぶ理由は、やっぱり直接会って話を聴いたからだと思います。記憶以外にも記憶する=「何かくっついてくる」感じなんです。刷り込まれている感覚ですね。
非常におこがましいことかもしれませんが、それをやってきたから、先程のサルベージの方から18枚の写真を託して頂けたのだと思います。ぞんざいに仕事に取り組んでいたら、「命と同じ重みのある写真を渡す」とは言われていなかったでしょう。
非常におこがましいことかもしれませんが、それをやってきたから、先程のサルベージの方から18枚の写真を託して頂けたのだと思います。ぞんざいに仕事に取り組んでいたら、「命と同じ重みのある写真を渡す」とは言われていなかったでしょう。