マタギキ volume 07 松嶋 啓介氏(4/13)
3.フランスでやっていけるなと感じた瞬間

3年目に勤めた二つ星レストランで魚料理の担当シェフをやっていた時です。毎日まかない料理で違うメニューをつくっていました。その時に作った料理が翌週に、正式なメニューとしてお客さんに出されていたんです。評判もよく、この瞬間に「いける」と思いました。自分の中では美味しいモノとそうでないモノはきちんと整理できていましたから、最後に判断するのはお客様ですから、料理人としてよりフランスでやっていける=フランス人が美味しいと思うものを作れると感じた時でした。
「業界で通用する」ためには、自分のやった仕事を整理してアップデートする事だと思います。何の仕事でもそうですが、クライアントがあって成り立ちます。お客様の満足する姿を、実際に自分の目で見て確かめる事が「やっていけるという瞬間」の分かれ目だと思います。数字だけで見てきちんと声を聞かなければ分からないですから。自分の考えがあって貫き通して突き抜けて行く人も中にはいます。しかし、自分の経験から言えることは、起業し始めの頃は、色んな声に耳を傾ける方が上手くいくことが多いです。よっぽど今の方が頑固者ですから(笑)。
25歳の誕生日に店を開きました。開業資金は嫁の貯金を借りましたね(笑)。お店は運命的な出会いでした。物件を探している時に、立ち寄ってお気に入りになったお店が売りに出ていましたから即決でした。日本のシェフも含めて、回りの人達から色んなことを言われましたけれども、言葉をしゃべれましたから、何を言われても自信がありました。料理の腕とその土地に根付くことは話が別ですから。