マタギキ熊本 村井 眞一氏(9/11)
8.良い物はイイ。ヒットを作る仕掛け。

僕のこだわりとしては、興行収益が悪くても良い映画は積極的に入れました。「ショーシャンクの空に」なんかもそうですね。自分も観てすごく面白かったので、すぐさま20,000本購入しました。興行成績は数百万の作品でしたが、原作が「IT」や「ミザリー」などホラー映画で有名なスティーヴン・キングでしたから、必ず流行ると思いました。ただ、宣伝のやり方が「まずかった」だけなんです。作品が納品される2ヶ月ぐらい前から北海道から九州まで全国の店舗を回って「この作品は絶対に面白いから!」と言って、視聴用のテープを10本ずつ配って回りました。徹底したのは、映画を観たスタッフが一目で分かるように「スタッフ視聴者リスト」を作って、実行してもらうことです。その当時はまだ700~800店舗ぐらいしかありませんでしたから、毎週、ファックスでリストを送ってもらいチェックし、進んでいない店には僕が直接電話をして指導していました。
3割近いスタッフが自分から「面白かったです」という声が上がってきました。そうすると、店頭に作品が並んだ時に「お客さん、この作品良いですよ」って自動的に言うんです。指示命令で「この作品面白いから売れ!」と命令すると、人は動かないんです。自分の目で見て「面白い」と思ったスタッフが7割いれば、その人たちはお客さんに聞かれる前に作品を薦めます。結果、作品は最初から爆発的に売れて行きます。いまだにこの「ショーシャンクの空に」はレンタル店の定番作品になっています。「レオン」や「ニキータ」も同様に仕掛けましたね(笑)。創業当初は、新聞やテレビなどのメディアから情報を発信することはできても、「店舗から情報を発信することはできない」と思っていました。ましてや50~100店舗の規模でしたから。1,000店を超え、ツインピークス現象ぐらいから考えが変わりましたね。情報を後追いするように店舗にテレビ取材が入ってきましたから。当時は「流行の作り方はオレに聞け」という感じでしたよ(笑)。