マタギキ熊本 村井 眞一氏(7/11)
6.躍進のきっかけは「鶴田さん」との出会い

僕達の事業が大きく変わったきっかけは、日本最大の本の取次である「日販」の鶴田さんとの出会いです。当時鶴田さんは、本だけではなく、ビデオやCDなどの販売も企画されていました。たまたま、枚方の店の側に日販の直営店があり「これだけ強い店舗を創るにはどうしたらいいのか」と聞きに来られたのがきっかけです。通常本屋を開く場合には担保が必要です。私達はまとまったお金もありませんし、担保になる資産もありませんでしたが、鶴田さんは「担保は要らない」と言ってくれたんです。後になって知ったのですが、1986年6月の契約を機に、その年の12月には都内に「物流倉庫」を準備して頂きました。ものすごく気さくな方でしたから「村井さん倉庫にいってみる? 今から見に行こう。ここどう? じゃあここに作るわ」といった感じで物事が進んで行きました。
エピソードとしては「せっかく倉庫を作ったんだから日経新聞に全面広告を出そうや!」と言って出して頂いたことです。当時はバブルですから1ページで6,000万円位するときです。当然、「日販」という名前が全面に出るのかと思いましたが、私たちの「CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)」の名前の下にちょこっと日販という名前が載っていました。これには感激しましたね。この日経新聞に事業パートナー募集(FCオーナー募集)の広告を掲載できたことが飛躍のきっかけの一つとなりました。鶴田さんはB to Bのビジネスの中で、僕らが儲かれば日販も儲けることができるということだけで6,000万円も投資してくれたんです。
正直、私たちはラッキーな側面もありました。鶴田さんは「マジメ」な人は嫌いで、少し「チャラけたやつ」が好きな方でしたから。学生運動など過激な運動に参加されていた経歴をお持ちの方でしたから……。そんな方と出会えたことそのものが躍進のきっかけですかね。