マタギキ 遠山正道 氏(7/17)
6.キーワードは「秋野つゆさん」

企画書の物語と並行して「秋野つゆさん」という架空の人物像を想定しました。スープストックトーキョーは、秋野つゆさんが創るモノを出すお店。彼女はフォアグラよりレバー焼きを好む。装飾よりも、機能が重要。プールに行っても巻き髪して平泳ぎするのではなく、いきなりクロールでガンガン泳ぐ。そういった属性を細かく設定しました。要するに、色々なお店を立ち上げる時の指標です。インテリア1個、サービス1つ、メニュー作りなど、すべてのことにそれぞれのジャッジがあります。全部の判断を僕1人がすることは不可能です。そんな時に皆が共有できるイメージを「秋野つゆさん」に託しました。
僕はよく、会社やブランドを人物に置き換えます。分かり易いでしょう。だからマニュアル的なものはほぼありません。店長やスタッフには「お店の姿を自分の姿だと思って、恥ずかしいことだけは止めてね」といった風にお願いをします。“自分ごと”だと思えれば、例えばポスターが斜めに貼ってあれば気になりますよね。お陰さまで、今ではつゆさんなしでスープストックトーキョーのマインドは各スタッフに息づいています。15年続いていると「スープストックトーキョーさん」という人物の顔立ちが特定されてきます。これってとても良いことなんです。マーケティング的な“今何が流行っているのか。お客さんからアンケートを取って商品開発する”みたいなことをやっていくと、その時代時代でブレてしまい、5年、10年経って何も残らない。それって“あなた誰?”みたいな非常に危険な状態ですよね。