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[愛魂 vol.43] 園 子温 ~独特の世界観で人々を魅了する映画界の鬼才~(2/2)

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ヒミズ

僕は希望なんて嫌いで絶望大好き人間

ab:主演を選んだ決め手は?

園:この映画は役者の生命力を爆発させるような演技で観る人を驚かせたいと思っていました。主演の二人は自分で自分の限界を作っていなくて、その上、自分が今までやってきた引き出しをすべて壊してでも自分の可能性を広げてみたいという野望・情熱にあふれていました。当初は有名人をたくさん入れようという話もありましたがそういうのは嫌でしたね。とにかく新人でやりたかったです。これは豪華なキャストを使いたがる日本映画へのアンチテーゼのつもりでもあります。

ab:情熱がほとばしるような主演二人の演技が素晴らしかったですが指導はどのようにしましたか?

園:僕はよく厳しいと言われるんですけど、厳しいのではなくて、もっと自由になれと言ってるだけです。自由にやるという方法を考えたことがない人が多いですね。「演技ってこういうもんだろ?」と勝手に型を作ってやってくるので、「違う、演技というのは演技じゃないんだ。もっと自由に、もっと本能のほとばしる気持ちでやれ」と言ってます。現場で自分が言った事はあまり覚えてないんですけど、前の現場で「カーペンターズのように綺麗に歌おうとせずにジャニス・ジョップリンみたいに個性的に歌ってくれ」と言ったらしいんですよ。これは本当にその通りで、自分だけの独自の演技を発見するまでは芝居とは言えない。あの二人もそれをオーディションの時から持っていたわけじゃない。何度もテイクを重ねていくうちに自分の芝居を発見していったんだと思います。
園子温インタビュー3
ab:主人公も含めてキャラクター設定が少し原作と変わっていましたがその意図は?

園:原作通りだと、主人公はボート屋のソファーにひたすら座っていて、話し方もモゴモゴしてる感じなんです。映画ではほとんど座らずに立ってちゃんと話す様に変えました。というのも、漫画では成立する事が映画では必ずしも成立しないんですよね。例えば主人公の父親ですが、映画では僕が設定を考えて付け足しています。原作では全くキャラクターの説明がなくて、見開き一枚でドーンと登場するシーンがあるだけです。漫画だとそれだけで説得力のある絵ですけど、映画だとそういう訳にはいきません。漫画には漫画の、映画には映画のテクニックがあって、それは全く違うもの。それを間違えてしまうと、どんなに面白い漫画でも映画にした時失敗してしまう。
ab:ストーリーの変更についてはいかがですか?

園:本当は原作通りにしたかったんですが、やっぱり現代のラストシーンはあれじゃないと思いました。でも実はすごく迷って、撮影前も迷ったし、撮影中も迷って、撮影し終わった後も迷いました。どれが一番良かったのかクランクアップした後も・・・今も分からないです(笑)。でもかろうじてうまくいったなと思う点があるとすれば、それは手ごたえを感じていないところかなと。そのおかげでラストシーンには絶望に打ち勝つというよりも、希望に負けてしまったという感覚が漂っていると思います。「愛なんかくそくらえ」と言っていた人が恋愛して「なんだ、悔しいけど愛っていいもんじゃないか」と白旗を上げるように僕も希望に白旗を上げました。僕は希望なんて嫌いで絶望大好き人間なのでそれは悔しかったですね。

ab:今後の作品にも影響すると思いますか?

園:元に戻ると思いますよ。「ヒミズ」みたいな映画はそうそう作らないでしょうね。初心に戻って人をとことん絶望に叩き落とすような映画を作ります(笑)

ab:なぜ絶望が好きなんでしょうか?

園:絶望は好きんなんですけど僕は別に絶望に向かって生きてるわけじゃなくて、絶望に対して構えていた方が楽だと思ってるんです。夢や希望を謳うんじゃなくて、現実を叩きつけるような作品がいいと思います。努力したって報われない事もある。むしろ努力してないのに報われている映画なんかもたくさんありますよね?そういうのは教育上よくないと思うんですよ。そう考えると僕の映画は教育映画かもしれませんね(笑)

ab:監督の作品と原作者の古谷さんの作品には「絶望感」という部分で同じ空気を感じるのですが、監督は古谷さんの作品にどのようなイメージを持っていますか?

園:すごくリアルが描かれていている良い作品だと思っています。

監督が感じている現代の若者像とは?

ab:監督ご自身はどんな映画が好きですか?

園監督:1960年代~70年代のアメリカ、フランス、イタリア映画はかなり観ています。特に小学生の頃が一番観ていて、その時は50年代とかもっと前まで遡って観たり。当時は編集が誰だとかスタッフの名前、脇役から端役まで全部憶えましたね。昔からスカッとしない映画が好きでした。
ab:「ヒミズ」は海外での評判もいいですがどのように考えていますか?

園監督:それは謎ですね。謎。特に今回の「ヒミズ」は完全に日本人に向けて作ったものだったので、だめだろうと思っていました。「愛のむきだし」も絶対に海外では受けないと思っていたのにアメリカですごく受けていたという話を聞いて驚きました。なので自分では本当に分からないです。

ab:いつも海外は意識していますか?

園監督:特に意識して作ってはいないですね。かといって日本人ウケを狙ってるわけでもない。もちろんエンタテインメントとしておもしろいものを作ろうという思いはあります。自分なりに「これだ!」というものを提示して、それがウケたらいいなとは思いますね。なので、ウケたいとは思ってるけど、ウケるために作る事はないです。
園子温インタビュー4
ab:「ヒミズ」は若者の葛藤が描かれた作品ですが、監督が感じる現代の若者像を教えてください

園:今の若者はいろんな事を諦めていると思います。戦わなくなったのが今の日本の若者像。だからこの映画は諦めずに戦い続ける映画にしたかったです。はっきりとモノを伝える映画にしたかった。

ab:最後に、今後の未来を支えるであろう若者たちに一言お願いします

園:戦うことを忘れたら人生じゃない。そこが一番の生きがいであって、それを失ったら金があろうがなかろうが関係なくなってしまうと思います。僕自身も戦う事がクリエイティブだと思っているので、そういう人生を歩んでほしいと思います。
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2012年1月14日(土)公開 映画「ヒミズ」

himizu2.jpg<ストーリー>「普通」の大人になることを願う15歳の住田祐一と、愛する人と守り守られ生きることを夢見る茶沢景子。他のクラスメートとは違う大人びた雰囲気を持つ住田に恋焦がれる茶沢は、疎ましがられながらも、彼との距離を縮めていけることに、喜びを感じる日々。けれど、そんな日常は、ある“事件”をきっかけに一変してしまう―。未来を諦めたような少年と 愛だけを信じ続ける少女の行きつく先は果たして・・・?

●監督・脚本:園子温  原作:古谷実「ヒミズ」(講談社『ヤングマガジン』KCスペシャル所載)
●出演:染谷将太 二階堂ふみ 渡辺哲 吹越満 神楽坂恵 光石研 渡辺真起子 黒沢あすか でんでん 村上淳   
窪塚洋介/ 吉高由里子 /西島隆弘(AAA)/ 鈴木杏
製作・著作:ギャガ・講談社 制作プロダクション:ステューディオ スリー 配給・宣伝:ギャガ
T・ジョイ博多/KBCシネマ1・2/TOHOシネマズトリアス久山 ほか全国公開

©『ヒミズ』フィルムパートナーズ

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