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第19回 世界はいかにオタク化していったのか? 生粋のオタク、吉田尚記アナウンサーとの対談(3/3)
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ガラパゴス化のススメ
櫻井: いま世界でウケる日本文化の原点の多くは、鎖国中の江戸文化に多くの原点がある気がしてなりません。平和な時代だからこそできた文化。浮世絵のユニークさなどは、世界の美術のなかでも突出している。印象派の画家たちが衝撃を受けたのもわかります。ある程度平和で、楽しくないと、新しい文化が生まれるのは難しい。
吉田: オタク文化はアウトサイダーアートでもあるんです。とても平和な場所が生んだアウトサイダーアート。元禄文化につながりますよね。僕の好きな落語もそう。アニメの「日常系」というジャンルなどは、落語のような文化の蓄積がないと生まれないですよ。
櫻井: そうですね。浮世絵のテーマだって「夕涼み」とまさに日常系。
吉田: アイドルもアウトサイダーアートだと思います。女のこがかわいらしさを核にパフォーマンスする文化など、世界でいまだに生まれていない。
櫻井: 海外のアイドルファンは、日本のアイドルは成功してもセレブにならないのがすごいとよく言いますよ。ブログで「大好きなカレーライスを昨日食べて、おいしかった」とか書く。まさに日常系ですよね。でもステージではプロフェッショナル。そんなギャップが海外のファンにはたまらないわけです。
アニメもそう。セーラームーンの主人公たちが学校に行く設定がすごいと海外のアニメファンは言います。でも、僕らにはそのことは当たり前で、すごいと言われるとびっくりする。
吉田: アイドルだって学校に行くし、それを僕らはなんとも思わないですからね。プロとしてバリバリ活動していて、時間的な経済コストを考えたら、短期的には行かないと選択するほうが自然かもしれないのに。
櫻井: 日本は世界でいちばんユニークな国だと思います。もっとガラパゴス化を進めるべきとさえ思います。
吉田: そうそう。すでにガラパゴスになっていますが、オタク文化を日本の観光戦略にも取り込むなら、その環境を守ることが大事なんです。海外のオタクが日本でだらだら集まり、楽しめる場所の整備も必要ですね。
櫻井: まさにそのとおりですね。今日は久々に語れて楽しかったです。ありがとうございました。
吉田さんの新刊『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』は、コミュニケーションが苦手と考えているみなさんに、コミュニケーション術を具体的に教える本だ。
海外の日本イベントに行くと、日本人だからということだけで積極的に話しかけられることは多い。日本語を学校や独学で一生懸命に学んでいる若者も多い。そして、彼らが日本語を学ぼうと思うきっかけの多くは、アニメでありマンガであり日本の音楽なのだ。語るべきテーマはいくらでもある。コミュニケーションできるかなと尻込みする必要はない。ぜひいちど海外の日本ポップカルチャー紹介イベントに参加してみてほしい。
どのイベントがというオススメは必要ない。大小の差さえあれ、そのイベントの根底に流れているのはなにかが「好き」という気持ちだからだ。「好き」なものという共通言語に国境がないことを改めて実感できるだろう。

▲吉田尚記氏
櫻井: いま世界でウケる日本文化の原点の多くは、鎖国中の江戸文化に多くの原点がある気がしてなりません。平和な時代だからこそできた文化。浮世絵のユニークさなどは、世界の美術のなかでも突出している。印象派の画家たちが衝撃を受けたのもわかります。ある程度平和で、楽しくないと、新しい文化が生まれるのは難しい。
吉田: オタク文化はアウトサイダーアートでもあるんです。とても平和な場所が生んだアウトサイダーアート。元禄文化につながりますよね。僕の好きな落語もそう。アニメの「日常系」というジャンルなどは、落語のような文化の蓄積がないと生まれないですよ。
櫻井: そうですね。浮世絵のテーマだって「夕涼み」とまさに日常系。
吉田: アイドルもアウトサイダーアートだと思います。女のこがかわいらしさを核にパフォーマンスする文化など、世界でいまだに生まれていない。
櫻井: 海外のアイドルファンは、日本のアイドルは成功してもセレブにならないのがすごいとよく言いますよ。ブログで「大好きなカレーライスを昨日食べて、おいしかった」とか書く。まさに日常系ですよね。でもステージではプロフェッショナル。そんなギャップが海外のファンにはたまらないわけです。
アニメもそう。セーラームーンの主人公たちが学校に行く設定がすごいと海外のアニメファンは言います。でも、僕らにはそのことは当たり前で、すごいと言われるとびっくりする。
吉田: アイドルだって学校に行くし、それを僕らはなんとも思わないですからね。プロとしてバリバリ活動していて、時間的な経済コストを考えたら、短期的には行かないと選択するほうが自然かもしれないのに。
櫻井: 日本は世界でいちばんユニークな国だと思います。もっとガラパゴス化を進めるべきとさえ思います。
吉田: そうそう。すでにガラパゴスになっていますが、オタク文化を日本の観光戦略にも取り込むなら、その環境を守ることが大事なんです。海外のオタクが日本でだらだら集まり、楽しめる場所の整備も必要ですね。
櫻井: まさにそのとおりですね。今日は久々に語れて楽しかったです。ありがとうございました。
吉田さんの新刊『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』は、コミュニケーションが苦手と考えているみなさんに、コミュニケーション術を具体的に教える本だ。
海外の日本イベントに行くと、日本人だからということだけで積極的に話しかけられることは多い。日本語を学校や独学で一生懸命に学んでいる若者も多い。そして、彼らが日本語を学ぼうと思うきっかけの多くは、アニメでありマンガであり日本の音楽なのだ。語るべきテーマはいくらでもある。コミュニケーションできるかなと尻込みする必要はない。ぜひいちど海外の日本ポップカルチャー紹介イベントに参加してみてほしい。
どのイベントがというオススメは必要ない。大小の差さえあれ、そのイベントの根底に流れているのはなにかが「好き」という気持ちだからだ。「好き」なものという共通言語に国境がないことを改めて実感できるだろう。

連載は隔週水曜日更新!
※次回は、3月4日です。どうぞお楽しみに!
※次回は、3月4日です。どうぞお楽しみに!
執筆者:櫻井孝昌氏プロフィール

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