マタギキ 中村貞裕 氏(5/18)
4.プロデュース業=付加価値を作り出す仕事-1

2010年に東京・お台場フジテレビの裏にある世界最大の集合オフィス「the SOHO」を手がけました。約300室全てが小分けのオフィスは、他にどこにもありません。もともとこの場所は、東京都の規制が厳しくマンションを建てることができず、運用する場所としては厳しい場所でした。基本的には失敗する場所と言われていた所です。条件が厳しいからこそ、僕たちに相談が来たので燃えました。グレーゾーンでうやむやにするのではなく、きちんとした形で運用するために、コンセプトを“SOHO”にしました。住むこともでき、働くこともできる、起業したい人たちが集まるスモールオフィスの集合体です。今で言う、シェアオフィスの巨大版です。「CLASKA」は目黒にある築40年のホテルを改装しました。名前には“どのように暮らすか”というライフスタイルの提案と“クラシック=ホテルの歴史”を掛け合わせ“クラシックにどう暮らすか?”という意味と提案を込めています。
GucciやAudiなどの世界的ブランドと仕事する機会もいただきました。時代的に、ラグジュアリーブランドに勢いがあり、ビルごとオンリーショップを作ることがトレンドであった時代でもありますが、僕のキャリアと大きく関係します。会社を立ち上げる前、僕はもともと伊勢丹に勤めていました。飲食店やホテルでのアルバイト経験は全くありません。もともと飲食店の出身の方は、職人気質が多いので頑固なところがあり、ブランドコンセプトと合わない部分が出てくることがあります。ただ、僕は百貨店での経験で“ブランド=コンセプト”は誰よりも分かっていたので、クライアントのイメージを形にすることがものすごく得意です。だから、ケータリングの内容やスタッフ配置にしても、それぞれのブランドイメージに合った選び方をします。お客様とブランドに関する共通言語があり、コンセプトがブレずに新しい価値を提供すること、そういった仕事の積み重ねがあり、今があるのだと思います。気づけば、ブランド+カフェ=ブランドカフェがトレンドということもありますが、僕たちはファッションから始まり、車やインテリアなど多岐に渡り約20ブランドを運営しています。