マタギキ 米原 康正氏(9/15)
8.米原 康正の感覚・思考-1

1995年に創刊した「egg」、1997年に創刊した「アウフォト」、2003年に創刊した「smart girls」どれも素人の女の子たちが中心の雑誌です。これらは「普通の女の子たちは自由だ」という考えで作った雑誌です。菅野美穂さんであり、藤井リナさんであり、僕が仕事で関わる女の子たちは、ハーフモデルや芸能人である前に女の子です。彼女たちの「普通の女の子としてどうこの時代に浸っているのか」という部分に焦点を当てて作品を作っているつもりです。モデルや芸能人といった「商品的側面」を利用して作ったことはほとんどありません。彼女たちを突き詰めていき、普通の女の子として捉えることで、時代の表情や感覚が表現できると思っています。彼女たちの素直な考えや表現が出せれば「それ自体が優れたドキュメント=リアル」になると考えています。だから、女の子たちが自由である状況を作ってあげることが僕の仕事だと思っています。この感覚は「egg」を作り始めた時から強く感じていることです。
「egg」創刊の頃は、93年位から渋谷に集まっているチーマーの彼女たちが変貌していった時期でした。普段はチノパンを履いて男の子っぽくしているのですが、制服に着替えるとルーズソックスにミニスカートというセクシーな感じに変わる。街の女の子たちはそんな風に輝いているのに、当時メディアがイメージしていた女子高生は三つ編みに膝下スカートといった古風なものでした。「egg」は彼女たちのイメージを「街に紐付けする作業をしようよ」という気持ちで作った雑誌です。
「アウフォト」を作っている頃はさらに「リアル」を追い求めていました。物事の中心全てが「東京」であり「東京じゃなきゃダメ」といった一極集中型の時代になりつつありました。前にも述べたように、僕は一つの方向に物事が流れることが嫌いですから、東京じゃなくても、その場所や土地で楽しんでいる人たちの写真を集めれば、絶対面白い「日本の自己紹介ができる本」ができると思って作りました。この一冊を見れば「当時の日本人の状況が理解できる」つもりで編集しました。